東京ヤクルトスワローズ

球団のあゆみ

1950年代



1950年
1月25日
加賀山之雄元国鉄総裁が当時の不安な世相を少しでも明るくとの意図のもとに、また国鉄職員の健康的なレクリエーションとして国鉄スワローズ球団を結成する。
3月10日
公式戦初戦、対大洋1回戦(下関)は2-1で敗れる。
3月11日
対広島1回戦(松山)、3-2で球団初勝利を飾る。

新生スワローズ誕生!
東京ヤクルトスワローズが「国鉄スワローズ」として産声を上げたのは、1950年のことである。この年からプロ野球はセ・パ2リーグ制となり、セ・リーグは既存の読売ジャイアンツ(以降、巨人)、大阪タイガース(以降、阪神)、中日ドラゴンズ(以降、中日)、松竹ロビンス(以降、松竹)に4つの新チームを加え、8球団でスタート。新チームのしんがりとして誕生したのが、日本国有鉄道(国鉄=現在のJRの前身)を運営母体とするスワローズであった。

初代監督は東京鉄道局で野球部監督を務めたのち、プロ野球の審判に転じていた西垣徳雄に決まったが、選手集めは容易ではなかった。東都大学リーグの看板投手だった高橋輝(中央大)の獲得には成功したものの、有力アマチュア選手は軒並みほかの球団と契約済み。参入が遅れた影響で既存球団からの選手供出も受けられず、各鉄道局の選手を中心に入団テストで採用を行ったが、プロ経験者は阪急を経てノンプロでプレーしていた遊撃手の中村栄しかいなかった。

実際、その船出は順風満帆と呼ぶにはほど遠かった。開幕第2戦で同じ新球団の広島カープ(以降、広島)を下して記念すべき球団初勝利を飾ったものの、翌日から5連敗。さらに3月21日から引き分けを挟んで14連敗、4月26日からは10連敗と大型連敗が続き、どっぷりと最下位に沈んだ。

打線のテコ入れのため、開幕後には藤田宗一、森谷良平、宇佐美一夫と、いずれも30代後半のベテランを獲得したが、問題は投手力。そこへ彗星のごとく現れたのが、愛知・享栄商高を中退してプロ入りした、17歳の金田正一だった。金田は初登板から4連敗と苦しみながらも、10月1日の大洋ホエールズ(以降、大洋)戦で初勝利を挙げると、左腕からの快速球と「ドロップ」と呼ばれた大きなカーブを武器にシーズン終了までに8勝をマーク。大きな新戦力を得た国鉄は、終盤に13連敗を喫した広島と入れ替わって7位に浮上し、辛くも初年度最下位を免れた。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
松竹ロビンス
137
98
35
4
.737
2
中日ドラゴンズ
137
89
44
4
.669
9.0
3
読売ジャイアンツ
140
82
54
4
.603
17.5
4
大阪タイガース
140
70
67
3
.511
30.0
5
大洋ホエールズ
140
69
68
3
.504
31.0
6
西日本パイレーツ
136
50
83
3
.376
48.0
7
国鉄スワローズ
138
42
94
2
.309
57.5
8
広島カープ
138
41
96
1
.299
59.0

主なラインナップ(監督:西垣徳雄)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(中)
土屋五郎
26
.287
3
26
2(三)
千原雅生
24
.238
3
31
3(右)
藤田宗一
36
.288
11
64
4(一)
森谷良平
36
.288
21
56
5(捕)
宇佐美一夫
36
.284
5
33
6(左)
小田切茂造
24
.230
5
31
7(二)
福田勇一
30
.223
2
45
8(投)
※先発投手
9(遊)
中村栄
27
.279
2
25
井上親一郎
32
.233
2
16
岩橋利男
29
.251
3
29
荻島秀夫
26
.185
2
16
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
田原基稔
21
56
13-22
4.14
高橋輝
19
52
10-15
5.76
古谷法夫
29
49
9-19
4.00
金田正一
17
30
8-12
3.93
成田敬二
31
45
2-13
4.47
  • 年齢は満年齢


表彰選手
該当者なし

1951年
4月5日
コミッショナー制を制定。前検事総長、福井盛太氏が初代コミッショナーに就任。
9月5日
金田正一投手、対阪神15回戦(大阪)でノーヒット・ノーランを達成。(セ・リーグ2人目)

18歳・金田が22勝
西日本の脱退により(パ・リーグの西鉄と合併)新たに7球団制となったセ・リーグで、創設2年目のスワローズが開幕から飛び出した。開幕戦で阪神、2戦目で巨人と立て続けに下すと、4月8日の名古屋ドラゴンズ(前年の中日から改称。以降、名古屋)戦から4連勝。同22日の対松竹ダブルヘッダーから再び4連勝を飾り、この時点で12勝4敗(勝率.750)と2位の巨人に2.5ゲーム差をつけて首位に立っていた。翌日から3連敗で一度は首位の座を明け渡すも、5月5日に新装の武蔵野グリーンパーク野球場に超満員の観衆を集めて行われた名古屋戦で2年目の金田正一が完投勝利を飾り、あっさりと首位に返り咲いた。

しかし、国鉄の快進撃もここまで。5月9日から1引き分けを挟んで6連敗を喫して2位に転落すると、6月に入って3勝10敗と大きく負け越し。前半戦を6位で終え、初開催のオールスターを迎えた。そのオールスターに、国鉄から唯一選ばれたのが金田。第1戦、第2戦と連投して計4イニングを零封し、存在を大いにアピールした。

8月にはその金田が1人で6勝をマークするなど、11勝10敗と勝ち越して5位に浮上した国鉄は、そのまま7球団中の5位でシーズンを終了。8月に18歳になったばかりの金田は9月5日の阪神戦で自身初のノーヒットノーランを達成するなど、フルシーズン1年目にして22勝21敗、リーグ7位の防御率2.83をマーク。233三振を奪って奪三振王のタイトルも手にした。高橋輝も2年連続で10勝を挙げるなど、投手陣はリーグ4位の防御率3.96と健闘した。

一方で打線はリーグ最少の36本塁打、同6位の打率.245と迫力を欠いた。それでも2月に松竹からトレードで移籍してきた佐竹一雄が、一塁にコンバートされた宇佐美一夫に代わって正捕手に定着。規定打数以上ではチームトップの打率.297で、リーグ12位と気を吐いた。また、土屋五郎は規定打数には届かなかったものの打率.302をマークし、52盗塁でこちらも初のタイトルに輝いている。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
読売ジャイアンツ
114
79
29
6
.731
2
名古屋ドラゴンズ
113
62
48
3
.564
18.0
3
大阪タイガース
116
61
52
3
.540
20.5
4
松竹ロビンス
115
53
57
5
.482
27.0
5
国鉄スワローズ
107
46
59
2
.438
31.5
6
大洋ホエールズ
108
40
64
4
.385
37.0
7
広島カープ
99
32
64
3
.333
41.0

主なラインナップ(監督:西垣徳雄)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(中)
土屋五郎
27
.302
2
26
2(遊)
中村栄
28
.276
1
31
3(右)
藤田宗一
37
.261
7
46
4(一)
宇佐美一夫
37
.284
7
37
5(捕)
佐竹一雄
26
.297
6
36
6(三)
千原雅生
25
.256
1
21
7(左)
初岡栄治
21
.247
0
20
8(二)
福田勇一
31
.206
3
34
9(投)
※先発投手
井上親一郎
33
.273
0
7
岩橋利男
30
.194
1
11
久保吾一
24
.192
0
13
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
18
56
22-21
2.83
高橋輝
20
36
10-11
4.06
古谷法夫
30
45
6-7
3.82
田原基稔
22
31
4-12
3.86
井上佳明
19
11
2-2
4.65
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
最多奪三振
金田正一
最多盗塁
土屋五郎


1952年
6月4日
杉浦清内野手、対阪神10回戦(甲子園)で100号本塁打を達成。
6月28日
金田正一投手、対松竹10回戦(大阪)で15奪三振のプロ野球タイ記録を達成。
8月~9月
佐藤孝夫外野手、24試合連続安打の球団およびプロ野球新人新記録を達成。

佐藤が球団初の新人王獲得
この年からフランチャイズ制が導入され、国鉄は東京を本拠地とすることが決定。セの巨人、パの毎日、大映、東急と計5球団で後楽園をホームグラウンドとして共有し、新たなシーズンに臨んだ。投手で大脇照夫、宮地惟友、野手では佐藤孝夫、町田行彦といった新人選手に加え、大洋から杉浦清、広島から辻井弘と2人のベテランを獲得するなど、戦力補強も充実。開幕戦で巨人との接戦を制して宮地がプロ初白星を手にすると、第3戦では金田が完封勝利を挙げるなど、開幕4連戦を2勝2敗の五分と上々のスタートを切った。

しかし、3月23日から4連敗で最下位に転落すると、その後に4連勝して息を吹き返したのもつかの間、4月半ばから4連敗、下旬からは6連敗、そして5月に入ると10連敗と大型連敗を繰り返した。それでも広島、松竹の低迷に助けられ、6月以降は5位の座をキープしたままシーズン終了。勝率.417は前年をわずかに下回ったものの、この年から試合数が120に増えたこともあって創設3年目にして初の年間50勝に到達した。

この年、目についたのは新戦力の活躍だった。仙台鉄道管理局から入団した佐藤は一番・遊撃に定着し、プロ野球の新人記録となる24試合連続安打、45盗塁(現在はセ・リーグ記録)をマーク。104試合の出場で打率.265、14本塁打、33打点の成績を残し、球団史上初の新人王に輝いた。金沢専売公社から入団した宮地は開幕戦のプロ初勝利を含む3勝にとどまったが、名古屋鉄道管理局から入団した大脇が金田正一に次いでチーム2位の8勝。また、移籍の杉浦が四番に座ってリーグ2位の25本塁打を放ち、中日、大洋でレギュラーを張った貫禄を見せつけた。

だが、この年もチームを引っ張ったのは、なんといってもエースの金田。6月28日の松竹戦で15三振を奪って当時のプロ野球タイ記録を樹立するなど、シーズン269奪三振で2年連続の奪三振王を獲得。64試合の登板でチームの全勝利数の半分に迫る24勝(25敗)と奮闘した。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
読売ジャイアンツ
120
83
37
0
.692
2
大阪タイガース
120
79
40
1
.664
3.5
3
名古屋ドラゴンズ
120
75
43
2
.636
7.0
4
大洋ホエールズ
120
58
62
0
.483
25.0
5
国鉄スワローズ
120
50
70
0
.417
33.0
6
広島カープ
120
37
80
3
.316
44.5
7
松竹ロビンス
120
34
84
2
.288
48.0

主なラインナップ(監督:西垣徳雄)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(遊)
佐藤孝夫
21
.265
14
33
2(右)
土屋五郎
28
.220
0
27
3(左)
辻井弘
35
.228
6
44
4(三)
杉浦清
38
.244
25
63
5(一)
森谷良平
38
.288
8
47
6(中)
初岡栄治
22
.261
4
33
7(二)
福田勇一
32
.211
1
10
8(捕)
佐竹一雄
27
.268
1
24
9(投)
※先発投手
井上親一郎
34
.223
0
9
中村栄
29
.232
2
23
藤田宗一
38
.227
2
20
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
19
64
24-25
3.17
大脇照夫
22
44
8-16
3.72
井上佳明
20
35
7-7
3.31
古谷法夫
31
31
3-5
3.00
宮地惟友
20
28
3-5
3.18
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
最優秀新人
佐藤孝夫
最多奪三振
金田正一

1953年
 
セ・リーグ6チーム制(120試合)を採用する。

初の最下位で西垣監督辞任
松竹と大洋が合併して「大洋松竹ロビンス」(以降、洋松)となり、セ・リーグはこの年から6球団制に。国鉄は前年のセンバツで静岡商高を優勝に導いた田所善治郎ら新人選手のほか、前大洋の安居玉一も獲得するなど補強を図ったが、出だしからつまづいた。阪神との開幕戦を2年目の宮地惟友で落とすと、続く中日戦にはエースの金田正一を先発に立てながら惜敗(敗戦投手は宮地)。その後も浮上のきっかけをつかめず、4月10日には最下位に転落した。

その後はしばらく5位と6位を行き来したが、5月12日から9連敗を喫すると、5月下旬から6月半ばにかけて金田が腰痛で戦列を離れた間に泥沼の10連敗。8月には7勝5敗1分けと反撃の兆しを見せたものの、結局は6位から抜け出すことはなく、チーム創設4年目にして初の最下位に終った。シーズン終了後にはその責任を取り、4年間指揮を執った西垣徳雄監督が辞任した。

深刻だったのは打線で、チーム打率.235、本塁打55、得点380はいずれもリーグワースト。打撃ベストテン入りの選手は1人もおらず、打率.264の辻井弘がリーグ20位に食い込むのが精一杯だった。前年の新人王、佐藤は外野にコンバートされて22本塁打と気を吐いたものの、ほかに2ケタ本塁打を放ったのはコーチ兼任の杉浦清(10本)だけ。かつては阪神ダイナマイト打線の一員として名を馳せた新戦力の安居も、リーグ25位の打率.246と振るわなかった。

それでも投手陣は金田が故障から復帰後、大黒柱として投げまくって3年連続の奪三振王(229奪三振)。3年連続で20勝を突破し、チームの全勝利数の過半数となる23勝をマークした。しかし、打線の援護不足もあってその他の投手は軒並み苦戦。3年目の井上佳明は自己最多の9勝を挙げる一方でリーグ最多の26敗を喫し、宮地も前年と同じ3勝ながら13敗と大きく負け越した。期待の新人、田所も先発13試合を含む29試合に投げたが、2勝6敗と白星には恵まれなかった。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
読売ジャイアンツ
125
87
37
1
.702
2
大阪タイガース
130
74
56
0
.569
16.0
3
名古屋ドラゴンズ
130
70
57
3
.551
18.5
4
広島カープ
130
53
75
2
.414
36.0
5
大洋松竹ロビンス
130
52
77
1
.403
37.5
6
国鉄スワローズ
125
45
79
1
.363
42.0

主なラインナップ(監督:西垣徳雄)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(中)
佐藤孝夫
22
.260
22
47
2(遊)
中村栄
30
.262
0
15
3(左)
安居玉一
31
.246
6
44
4(三)
杉浦清
39
.232
10
49
5(一)
辻井弘
36
.264
2
32
6(右)
町田行彦
19
.225
5
25
7(捕)
佐竹一雄
28
.223
2
29
8(投)
※先発投手
9(二)
福田勇一
33
.210
2
22
井上親一郎
35
.228
1
2
千原雅生
27
.185
0
17
土屋伍郎
29
.272
0
14
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
20
47
23-13
2.37
北川芳男
29
49
15-15
1.90
村田元一
23
43
14-13
2.31
森滝義巳
23
38
10-8
2.30
巽一
25
40
8-5
3.08
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
最多奪三振
金田正一

1954年
6月8日
金田正一投手、対洋松8回戦(横浜)で15奪三振のタイ記録と7連続奪三振のセ新記録を達成。
7月10日
金田正一投手、対中日7回戦(中日)で通算1,000奪三振を達成。
10月25日
金田正一投手、対洋松26回戦(後楽園)通算100勝目を達成。

野手転向の箱田が球団初の打率3割
前年はほぼコーチ専任だった藤田宗一を2代目監督に据え、新たなスタートを切ったスワローズ。最大の話題はベテラン三塁手、宇野光雄の獲得であった。慶応大では飯島滋弥(のちセネタースほか)、宮崎要(のち西鉄)らとともに「100万ドルの内野陣」と謳われた宇野は、1951年には巨人でリーグ10位の打率.303をマークした実績の持ち主。新天地では助監督兼任ながら、開幕からホットコーナーを守り、クリーンアップトリオの一角を担うなど、中心選手として活躍した。

開幕はその宇野の古巣である巨人にいきなり連敗を喫したものの、4月を10勝10敗の五分で乗り切ると、5月下旬から6連勝で3位に浮上。6月9日から13日にかけても5連勝を記録するなど、旋風を巻き起こした。中盤以降は宇野の捻挫を筆頭に故障者が相次ぎ、前年から順位を1つ上げただけの5位に終わったが、年間55勝は球団新記録。創設以来、毎年大きく負け越していた巨人に対しても、4月4日のダブルヘッダー第2戦から6月22日まで8連勝するなど善戦した。

攻撃陣の最大のサプライズは、高卒4年目の箱田弘志。前年までは投手として通算4勝10敗の成績に終っていたが、この年から野手一本に転向すると、リーグ4位の打率.323で球団初の3割バッターに。三塁手部門の宇野とともに、二塁手部門でベストナインに輝いた。また、町田行彦はチームトップの20本塁打を放つなど長打力を開花させ、持ち前の強肩を利した外野守備でもファンを沸かせた。

投手陣ではエースの金田正一が23勝(23敗)を挙げ、これで4年連続の20勝到達。6月8日の洋松戦でセ・リーグタイ記録の1試合15奪三振および同新記録の7者連続奪三振をマーク(いずれも当時)すると、7月10日の中日戦で通算1000奪三振、10月25日の洋松とのシーズン最終戦では通算100勝と、記録尽くめのシーズンになった。だが、その他の投手は高橋輝が7勝、大脇照夫と古谷法夫はいずれも6勝と、金田に次ぐ2ケタ勝利は現れなかった。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
中日ドラゴンズ
130
86
40
4
.683
2
読売ジャイアンツ
130
82
47
1
.636
5.5
3
大阪タイガース
130
71
57
2
.555
16.0
4
広島カープ
130
56
69
5
.448
29.5
5
国鉄スワローズ
130
55
73
2
.430
32.0
6
大洋松竹ロビンス
130
32
96
2
.250
55.0

主なラインナップ(監督:藤田宗一)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(中)
佐藤孝夫
23
.245
5
20
2(一)
鵜飼勝美
22
.247
4
23
3(二)
箱田弘志
22
.223
9
51
4(三)
宇野光雄
37
.291
7
56
5(左)
安居玉一
32
.258
5
46
6(右)
町田行彦
20
.250
20
66
7(捕)
佐竹一雄
29
.223
2
29
8(投)
※先発投手
9(遊)
中村栄
31
.279
0
16
松橋義喜
20
.181
0
4
辻井弘
37
.220
1
16
青山浩
22
.241
3
14
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
21
53
23-23
2.63
村田元一
24
40
12-16
2.36
北川芳男
30
37
9-10
2.21
渋谷誠司
23
42
6-8
3.05
鈴木皖武
21
41
1-6
3.86
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
ベストナイン(二塁手)
箱田弘志(初)
ベストナイン(三塁手)
宇野光雄(初)

1955年
10月19日
金田正一投手、対阪神26回戦(長野)でシーズン350奪三振のセ・リーグ新記録を樹立(この記録は、米大リーグのボブ・フェラー投手の年間348三振を破る世界新記録)

町田が球団史上初の本塁打王に
藤田宗一監督就任2年目を迎えたスワローズは、前年の宇野光雄に続いてベテランの小松原博喜を巨人から獲得。その小松原が二番、宇野が四番に入り、前後を佐藤孝夫、箱田淳(弘志 から改名)、町田行彦といった若手が固めるバランスの取れたラインナップで、シーズン開幕に臨んだ。ところがエースの金田正一で中日との開幕戦を落とすと、いきなりの5連敗。スタートでつまずき、4月20日までは最下位に沈んだままだった。

それでも5月は11勝13敗と持ち直し、4位に浮上。26日の対中日ダブルヘッダーでは金田が第1試合で完封勝利を収めると、第2試合は途中からマウンドに上がり、最後は自らのサヨナラ本塁打で1日2勝を挙げる快挙を成し遂げた。夏場には勝率5割まであと一歩のところまで迫るなど3位の阪神を追い上げたが、その後は次第に後退。結局は前年と同じ5位に終わり、藤田政権はわずか2年で終焉を迎えた。

打撃陣で目覚しい活躍を見せたのは、4年目の町田。前年の20本塁打から、31本と大きく飛躍してホームラン王のタイトルを獲得。スワローズの選手が打撃三部門のタイトルを手にするのは、これが球団史上初めてのことだった。さらに町田とは同期の佐藤もリーグ2位の24本塁打を放つなど、チーム本塁打93本は優勝した巨人の84本を抑え、リーグ最多となった。移籍の小松原は打率こそリーグ20位の.253だったが、二塁打29本はリーグトップ。パ・リーグの新人王となった榎本喜八(毎日)にも劣らない逸材と言われていたルーキーの石田雅亮は、正一塁手に定着して打率.244(リーグ23位)、1本塁打という成績だった。

投手陣はこの年も金田の独り舞台。わずか1勝の差で最多勝を逃したものの、29勝で5年連続の20勝超え。350奪三振で2年ぶり4度目の奪三振王に輝いたが、これは当時メジャーリーグ記録だったボブ・フェラー(インディアンス)の348を抜き“世界新記録”となった。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
読売ジャイアンツ
130
92
37
1
.713
2
中日ドラゴンズ
130
77
52
1
.597
15.0
3
大阪タイガース
130
71
57
2
.555
20.5
4
広島カープ
130
58
70
2
.453
33.5
5
国鉄スワローズ
130
57
71
2
.445
34.5
6
大洋ホエールズ
130
31
99
0
.238
61.5

主なラインナップ(監督:藤田宗一)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(中)
佐藤孝夫
24
.224
24
53
2(二)
箱田淳
23
.226
5
22
3(右)
町田行彦
21
.280
31
71
4(三)
宇野光雄
38
.259
6
43
5(左)
小松原博喜
31
.253
6
47
6(一)
石田雅亮
19
.244
1
28
7(捕)
佐竹一雄
30
.221
3
35
8(投)
※先発投手
9(遊)
大久保英男
23
.206
6
23
中村栄
32
.249
1
13
渡辺礼次郎
24
.230
0
5
青山浩
23
.223
2
9
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
22
62
29-20
1.78
大脇照夫
25
28
9-6
2.65
田所善治郎
21
27
5-9
3.58
黒岩弘
22
35
4-6
2.63
北畑利雄
22
25
4-9
3.22
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
最多奪三振
金田正一
最多本塁打
町田行彦(球団史上、初の打撃タイトル)
ベストナイン(外野手)
町田行彦(初)

1956年
5月3日
大脇照夫投手、対中日9回戦(中日)でノーヒット・ノーランを達成(プロ8人目)
9月19日
宮地惟友投手、対広島24回戦(金沢兼六)で完全試合を達成(プロ3人目)

宇野新監督の下、初の4位に躍進!
前年まで四番打者として活躍した宇野光雄が新監督に就任し、巨人時代にシーズン23勝を挙げた実績を持つ松田清と、本職は捕手ながら阪神では一塁手としての出場も多かった谷田比呂美を獲得。その一方で新人選手の入団は2人だけという限られた戦力補強の中、宇野スワローズは苦しいスタートを強いられた。

巨人との開幕3連戦に1勝2敗と負け越し、3月31日からは4連敗を喫するなど、4月10日の時点では3勝9敗で最下位に沈んでいた。しかし、4月12日から3連勝で4位に浮上すると、5月3日の対中日ダブルヘッダー第2試合では、5年目の大脇照夫が球団史上2人目のノーヒットノーランを達成。このダブルヘッダー連勝を皮切りに、9日の巨人戦まで7連勝の快進撃を見せた。

その後も連勝と連敗を繰り返しながら4位の座をキープし、シーズン残り5試合の段階で成績は60勝62敗3分け。球団史上初の勝率5割も夢ではなかったが、そこから1引き分けの後3連敗を喫し、惜しくも5割到達を逃した。それでも年間61勝および勝率.485は球団新記録。4位でシーズンを終えたのも、初めてのことだった。

投手陣では金田が25勝20敗で、6年連続の20勝超え。3月28日の中日戦で通算1500奪三振を達成し、シーズン316奪三振で2年連続5度目のタイトルを手にすると、初の沢村賞にも輝いた。これまでと違ったのは、この年は金田の独り舞台ではなかったことだ。5月にノーヒットノーランを達成した大脇は、結局4勝どまりだったが、その大脇と同期の宮地惟友が、金田以外の投手では5年ぶりに2ケタ勝利をマーク。9月19日に地元・金沢で行われた広島戦で、プロ野球史上3人目の完全試合達成という偉業も成し遂げた。

打線では、前年は故障に泣いた箱田淳が全試合に出場し、リーグ10位の打率.259。5年目の鵜飼勝美も初の全試合出場を果たし、四番打者として奮闘した。しかし、前年の本塁打王の町田行彦が、開幕前の故障でわずか57試合の出場にとどまったのが痛かった。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
読売ジャイアンツ
130
82
44
4
.646
2
大阪タイガース
130
79
50
1
.612
4.5
3
中日ドラゴンズ
130
74
56
0
.569
10.0
4
国鉄スワローズ
130
61
65
4
.485
21.0
5
広島カープ
130
45
82
3
.358
37.5
6
大洋ホエールズ
130
43
87
0
.331
41.0

主なラインナップ(監督:藤田宗一)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(中)
佐藤孝夫
25
.220
9
24
2(右)
青山浩
24
.213
3
17
3(三)
箱田淳
24
.259
10
47
4(左)
鵜飼勝美
24
.256
7
53
5(二)
佐々木重徳
22
.238
9
34
6(一)
谷田比呂美
32
.210
2
16
7(遊)
大久保英男
24
.182
1
15
8(捕)
佐竹一雄
31
.192
1
6
9(投)
※先発投手
阿井利治
21
.220
1
8
石田雅亮
20
.246
3
17
小松原博喜
32
.237
2
15
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
23
68
25-20
1.74
宮地惟友
24
42
12-12
2.53
田所善治郎
22
45
7-7
2.11
北畑利雄
23
30
6-4
3.03
大脇照夫
26
33
4-13
3.16
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
最多奪三振
金田正一
特別賞
沢村栄治賞
金田正一(初)

1957年
7月15日
金田正一投手、対中日11回戦(中日)で2,000奪三振を達成(巨人スタルヒン投手のもつ1,960奪三振のプロ野球記録を更新)
佐竹一雄捕手、1,000試合出場を達成。
8月1日
飯田徳治内野手、対広島16回戦(広島)で1,500安打を達成。
8月21日
金田正一投手、対中日17回戦(中日)で完全試合を達成(プロ4人目)

巨人に初の勝ち越し!佐藤は本塁打王に
南海ホークス(以降、南海)の四番打者として活躍していた飯田徳治が、同一球団に10年以上在籍した選手に与えられる「A級10年選手」の権利を利用し、国鉄に移籍。1951、52年と連続でパ・リーグ打点王に輝いたスラッガーの加入は、大きな話題となった。

それでも出足は最悪だった。巨人とのオープニングゲームを田所善治郎で落とし、続く第2戦も金田正一で敗れるなど、開幕からいきなりの6連敗。4月6日の広島戦で金田が完投勝利を収めて連敗を止めると、10日の中日戦に田所で競り勝ってようやく最下位から脱出したものの、その後も長らく5位が続いた。

それでもこの年は巨人に対する強さが際立った。開幕カードこそ3タテを喫したものの、7月23日からの3連戦に全勝し、4位に浮上。その後は再び5位に落ちたが、8月9日からの対巨人4連戦も3勝1分けでこのカード8連勝として4位に返り咲くと、最後までその座をキープした。結局、巨人に対しては14勝11敗1分けで、球団創設8年目で初の勝ち越しを決めた。

投の立役者となったのは、この年も金田。6月19日の巨人戦で通算1961個目の三振を奪ってプロ野球記録を更新すると、7月19日の中日戦では通算2000奪三振を達成。8月21日の中日戦では9回裏に判定を巡るトラブルで約40分の中断というアクシデントがありながら、完全試合を成し遂げた。終わってみれば28勝、防御率1.63で初の投手二冠に輝き、2年連続の沢村賞に選ばれた。開幕投手を務めた田所も、自身初の2ケタ勝利となる15勝と健闘した。

打っては新加入の飯田がリーグ4位の打率.293をマークし、40盗塁でタイトルを手にするなど、打線を牽引。8月1日の広島戦では節目の通算1500安打に到達した。また、かつての新人王・佐藤孝夫が22本塁打で青田昇(大洋)と並んで初のホームラン王に輝くと、町田行彦も21本塁打を放ってタイトル争いに参戦。野手に完全転向の松田清は外野のレギュラーに定着した。



セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
読売ジャイアンツ
130
74
53
3
.581
2
大阪タイガース
130
73
54
3
.573
1.0
3
中日ドラゴンズ
130
70
57
3
.550
4.0
4
国鉄スワローズ
130
58
68
4
.462
15.5
5
広島カープ
130
54
75
1
.419
21.0
6
大洋ホエールズ
130
52
74
4
.415
21.5

主なラインナップ(監督:藤田宗一)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(一)
飯田徳治
33
.293
9
39
2(中)
松田清
27
.248
3
23
3(左)
佐藤孝夫
26
.256
22
68
4(三)
箱田淳
25
.251
7
42
5(右)
町田行彦
23
.227
21
52
6(二)
佐々木重徳
23
.244
8
48
7(捕)
谷田比呂美
33
.193
4
19
8(遊)
大久保英男
25
.215
0
15
9(投)
※先発投手
佐竹一雄
32
.100
0
4
渡辺礼次郎
26
.228
2
15
鵜飼勝美
25
.197
3
15
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
24
61
28-16
1.63
田所善治郎
23
56
15-21
2.41
大脇照夫
27
38
5-12
3.25
宮地惟友
25
31
5-6
3.86
田代照勝
23
18
3-1
2.78
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
最優秀防御率
金田正一
最多勝利
金田正一
最多奪三振
金田正一
最多本塁打
佐藤孝夫(初)
最多盗塁
飯田徳治(初)
ベストナイン(投手)
金田正一(初)
特別賞
沢村栄治賞
金田正一(2回)


1958年
5月24日
飯田徳治内野手、対阪神7回戦(甲子園)でアキレス腱を切断、南海時代からの連続試合出場が1,246試合でストップ。
5月27日
金田正一投手、対広島5回戦(広島)で6回に本塁打され、4月30日以来の連続無失点記録が61回1/3(プロ野球新記録)に終わる。
6月1日
佐藤孝夫外野手、対大洋8回戦(川崎)で100号本塁打を達成。

金田が初の30勝で投手三冠独占
この年のプロ野球は、鳴り物入りで入団した巨人の「ゴールデン・ルーキー」長嶋茂雄と、国鉄のと言うよりは球界を代表するエースの金田正一による対決から幕を開けた。4月5日、2年ぶり5度目の開幕マウンドに上がった金田は、超満員に膨れ上がった後楽園球場で長嶋を4打席4三振に斬って取る圧巻のピッチング。この勝負は球史に残る名場面として、後々まで語り継がれることになる。

幸先よく開幕戦を白星で飾った国鉄は、翌日も金田が勝利投手になると、3戦目も巨人を下して開幕3連勝。金田はその後も快調に飛ばし、4月25日の大洋戦まで開幕9連勝(前年から通算して13連勝)をマークした。金田の連勝はここでストップするが、5月13日の中日戦で13勝目を挙げると、チームは4月9日以来の首位に浮上。だが、その天下も長くは続かなかった。5月25日の対阪神ダブルヘッダーに連敗して首位の座から陥落し、7月には3位に後退。さらに8月には4位まで順位を落とし、またしてもAクラス入りを逃した。

それでも金田はこの年も、シーズンを通して奮闘した。4月30日の広島戦から5月27日の同カードにかけて64回1/3連続無失点のプロ野球記録を樹立すると、6月6日の阪神戦で史上8人目の通算200勝を達成。6月13日にはチーム51試合目で20勝到達のスピード記録を作り、同月19日には年間10完封のセ・リーグ記録をマーク。終盤の9月28日には巨人戦にリリーフして勝利投手となり、自身初のシーズン30勝に到達した。結局、金田は勝利(31)、防御率(1.30)、奪三振(311)の投手三冠を手にし、当然のように3年連続で沢村賞を受賞した。

打線はリードオフマンの飯田徳治が5月24日の阪神戦でアキレス腱を断裂し、戦列を離れたのが大きな痛手となった。この負傷により、飯田は南海時代から続いてた連続試合出場記録が1246でストップしている。前年は初の本塁打王に輝いた佐藤孝夫も、打率.231、13本塁打と大幅ダウン。それでも箱田淳が2年ぶりに全試合出場を果たし、リーグ11位の打率.271と、一人気を吐いた。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
読売ジャイアンツ
130
77
52
1
.596
2
大阪タイガース
130
72
58
0
.554
5.5
3
中日ドラゴンズ
130
66
59
5
.527
9.0
4
国鉄スワローズ
130
58
68
4
.462
17.5
5
広島カープ
130
54
68
8
.446
19.5
6
大洋ホエールズ
130
51
73
6
.415
23.5

主なラインナップ(監督:宇野光雄)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(左)
佐藤孝夫
27
.231
13
42
2(遊)
渡辺礼次郎
27
.221
1
11
3(三)
箱田淳
26
.271
9
38
4(一)
石田雅亮
22
.245
2
24
5(右)
町田行彦
24
.206
8
33
6(中)
鵜飼勝美
26
.231
3
29
7(二)
佐々木重徳
24
.222
4
25
8(捕)
根来広光
22
.225
7
28
9(投)
※先発投手
谷田比呂美
34
.208
1
11
西岡清吉
21
.243
4
15
松田清
28
.239
3
15
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
25
56
31-14
1.30
村田元一
20
62
15-22
2.93
田所善治郎
24
34
6-11
4.14
宮地惟友
26
40
5-8
4.42
大脇照夫
28
34
1-7
3.54
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
最優秀防御率
金田正一
最多勝利
金田正一
最多奪三振
金田正一
ベストナイン(投手)
金田正一(2回)
特別賞
沢村栄治賞
金田正一(3回)


1959年
4月18日
金田正一投手、対広島1回戦(広島)で500試合登板を達成。
7月22日
飯田徳治内野手、対阪神17回戦(後楽園)で1,500試合出場を達成。
7月26日
町田行彦外野手、対中日13回戦(中日)で球団初のサイクルヒットを達成。(プロ17人目)
9月30日
町田行彦外野手、対大洋21回戦(川崎)で100号本塁打を達成。

2ケタ勝利トリオ誕生もAクラス入りならず
宇野光雄監督就任以来、前年まで3年連続の4位。悲願のAクラス入りを目指し、北川芳男(日本ビール)、巽一(慶応大)といった実力派ルーキーに加え、中日で本塁打王、打点王に輝いたことのある杉山悟、巨人からは岩下守道を獲得するなど、積極的な戦力補強を図った。

巨人との開幕3連戦こそ1勝2敗と負け越したものの、4月15日から5連勝して2位に駆け上がると、5月14日の中日戦から30日の大洋戦にかけては球団新記録の9連勝。一時は首位の巨人に3.5ゲーム差まで詰め寄るなど、夏場まで2位の座をキープした。しかし、オールスター直前に3位に転落すると、8月29日からの7連敗で4位まで後退。阪神、中日と最後までAクラスを争ったが、またしても「定位置」の4位に終わり、初の勝率5割にもわずかに届かなかった。

エースの金田正一は4月18日の広島戦で通算500試合登板を記録すると、5月21日の同カードでは通算2500奪三振を達成。5月下旬までは11勝2敗の快進撃を見せていたが、6月以降は一転して精彩を欠いた。シーズン終盤の10月9日に9年連続の20勝に到達したものの、途中入団の1950年を除いて自己最少の21勝にとどまり、4年連続の沢村賞はならなかった。

その一方で北川が18勝を挙げて大洋の桑田武と新人王を争い、田所善治郎も2年ぶりの2ケタ勝利となる11勝をマーク。前年に15勝した村田元一は9勝止まりだったが、2ケタ勝利投手が3人も誕生したのは、球団史上初めてのことだった。

打線は故障から復活した飯田徳治が、首位打者の長嶋茂雄(巨人)に次いでリーグ2位の打率.296。巨人から移籍の岩下はレフトの定位置をつかみ、打率.280でリーグ7位に食い込んだ。ただし、期待された杉山は29試合の出場でホームラン2本に終わり、チーム最多本塁打は箱田淳の11本。7月に球団初のサイクルヒット、9月に通算100本塁打を達成した町田行彦が10本で続いたが、チーム本塁打62本は優勝した巨人の約半分と、長打力不足は否めなかった。

セ・リーグ順位表

順位
チーム
試合
勝率
ゲーム差
1
読売ジャイアンツ
130
77
48
5
.612
2
大阪タイガース
130
62
59
9
.512
13.0
2
中日ドラゴンズ
130
64
61
5
.512
13.0
4
国鉄スワローズ
130
63
65
2
.492
15.5
5
広島カープ
130
59
64
7
.481
17.0
6
大洋ホエールズ
130
49
77
4
.392
28.5

主なラインナップ(監督:宇野光雄)

打順 守備
選手名
年齢
打率
本塁打
打点
1(一)
飯田徳治
35
.296
4
29
2(左)
岩下守道
28
.280
2
38
3(二)
箱田淳
27
.247
11
44
4(右)
町田行彦
25
.258
10
50
5(中)
佐藤孝夫
28
.197
6
34
6(三)
西岡清吉
22
.237
6
28
7(捕)
根来広光
23
.203
9
32
8(遊)
土居章助
22
.187
2
18
9(投)
※先発投手
渡辺礼次郎
28
.235
2
17
佐々木重徳
25
.246
0
22
松田清
29
.259
1
16
打順 守備
選手名
年齢
登板
勝敗
防御率
金田正一
26
58
21-19
2.54
北川芳男
29
49
15-15
1.90
村田元一
23
43
14-13
2.31
森滝義巳
23
38
10-8
2.30
巽一
25
40
8-5
3.08
  • 年齢は満年齢


表彰選手

セ・リーグ表彰
最多奪三振
金田正一
サイクルヒット
町田行彦